走れメロス / 太宰治

何度読んでもいいね、太宰治、好き。

何かのテレビ番組で中学生だか高校生だかが学校の授業で太宰に取り組んでいるものを観た。
秋葉原の無差別殺人犯のネット上での言及と、太宰の作品に収められているフレーズの共通点とか相違点とかを比較していた。
この二人の人物は孤独だったのか、理解してもらえなかったのか、どうやってそれを周囲に伝えようとしたか、果してそれはできたのか、云々。
そこでインタビューされていた少年は、殺人犯も太宰も同じようなネガティブなことを言っているけれど、太宰のほうには強さや希望を見出すことができる、と述べていた。
さらには、太宰にとても共感する、と。
現代の子供たちと太宰、みたいな結びつけをした番組であった。
びっくりした。遺憾であった。
太宰は何度も自殺しようとして、死にきれなくて、やっと最後、できたんだよ。
そこのどこに希望を見出すのだ。人に生きろなんて言って自分で死ぬやつに希望はない。
さらに、太宰に共感する、とか、いとも容易く口にする現代の病める若者たち。
あたしはそういう人たちが大嫌いだ。吐き気がする。
悲劇のヒロインぶるな、ってんだ。お前に太宰の何が分かる。
あの番組のことがちらちら脳裏によぎりながら2回目の読了。

よくもまあそんなむちゃくちゃができるものだ。
家族をなんだと思っているんだ。
本当に救いようのない人間だ。
誰からも救われなくて、自滅の道をまっしぐら。
自伝的なエッセイは、もうその人生がありのままに書かれているだけで、読んでいてわくわくする代物である。まあ、彼の人生が代物であるのだから、それを文字に起こすのは誰でもできる。
でもやっぱりすごいのは、短編だ。「走れメロス」は何度読んでも心臓がドキドキしたり、きゅうーってなる、素晴らしい作品だと思うし、個人的には「駆込み訴え」の展開も好き。
2回目に読んで初めて、「女生徒」の良さも分かった。
瑞々しい。不純物がない。純正な文学だと思うのだけど。
とてもいい。好きだ。もっと読みたい。

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