こころ / 夏目漱石

これは高校の時の国語の授業で出てきた以来の再読。
今でもひどく覚えている。
あのヤニ臭くてだらーんとしてやる気のなさそうな先生が。
初めて、授業で文庫本を買え、と言った。
当時の教科書にはたしかすべては載っていなくて、
(「上」だったか「下」だったかも覚えてない)
1人一冊文庫本を買いなさい、それを用いて授業をする、ということだった。
当時は全く、全く、全くといっていいほど本を読まないあたしが
珍しく本屋に行くことになったのもあの先生のおかげ。
(もう名前も覚えてないけど。)
今でもわりときれいな文庫本が手元に残っているが、
うちをよく探せば、夏目漱石の「こころ」なんて当然のようにあるのだ。
そんなことも知らなかったあのころのあたし。
とにかく、ちゃんと読んだのかもあやふや。
授業中もたくさん寝ていた。
先生が要点だけかいつまんで上手い具合にまとめてくれた。
あたしびっくりしたんだ。
先生の持ってる文庫本がポストイットだらけで、しかもぼろぼろで。
え、そんな、読む?ってくらい、読み込まれてた。
その時期のテスト範囲は、『こころ』だけだった。
(気がする。とにかく半端ないウエイトを占めていた。)
先生の熱の入れようも、いつもとまったく違っていた。
たぶんあれは授業外で見たのだろう。
他の国語の先生と、その先生が一騎打ちで文学について語っていた。
ふたりとも楽しそうで、あたしにはひとかけらも理解できない世界だった。
高校生のあたしの目にはもっと単純に、
教師じゃないように映った。
だって、教師って、いつもふてくされながら、
国が定めた学習要領に従って、教えたくもないことを教えていると思ってたからさ。
でも『こころ』を教えてた時のあの先生は、
本当に文学者としてうきうきしていて、
大学を経て大学院に通う今なら、ちょっとかなり分かるようになった。
あたしみたいな米文学を専攻する人が国語の先生になることはありえないのだろう。
たぶん、あの先生が大学で日本文学を勉強しながら
国語教師の教職を取ったんだろうな。
よくわからないけど、たぶん、特に思い入れのある作品なんだろうな。
あの熱意、なんでこんなに覚えてるのか、自分でも分からない。
さっきも言ったように、教師っぽくなかったから。
先生が見ていた世界はまだ見えないけど、
あの頃よりは分かるようになったよ。
今だったら、先生の授業、もっとおもしろく聞けるのにな。
テストでも良い点取れたかもしれない。
あたしはいつだって成長が遅い。

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