汚れつちまつた悲しみに…… / 中原中也詩集

一晩あれば読めるのに。
いや、1,2時間で読めたのに。
ここ数年はそんな時間もなかったのか。
季節のことばっかりでびっくりした。
なんというか、他にテーマないんかいな。
たとえば、ペン、とかさ、食べ物、とか、そういう、身近なものについての詩がない。
さらに、自由、とか、歴史、といった概念についての詩もない。
ちょっとした思い出を交えながら季節のことをたくさん歌ってる。
秋と冬が春と夏よりも多い気がした。
それはもちろん、共感できたり、美しいな、という詩もたくさんあった。
表題作はやはり言葉が強い。
朽ち果てない強さを持っていて、屋久島の杉の木みたいだ。
と言っても、そんなイメージとは裏腹にとても弱気な詩だけど。
その次の「無題」という詩も良い。
こひ人よ、おまへがやさしくしてくれるのに、
私は強情だ。ゆうべもおまへと別れてのち、
酒をのみ、弱い人に毒づいた。
…と始まる。
彼女の心は真つ直い!
と叫ぶ中也。
これはきっと、あの女性のことなのだろうな。
「また来ん春……」も好き。
「正午」も好き。
「春日狂想」はすごい。
愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。
愛するものが死んだ時には
それより他に、方法がない。
と言い切ってしまう中也。
お医者さんの息子として生まれ、幼少より賢くて。
本を読み更けていたので落第ってすごいな。
それくらい本を読んでみたかった。
ラブレターを読む 愛の領分/中村邦生・吉田加南子編
を読んだ時に、中原中也と小林秀雄とその間に揺れた女優と、それと坂口安吾が重なる文学シーンにとても心を奪われたけど、見事にそこだった。
この時代に生きてみたかった。
男だったらあたしは絶対彼らとつるんでいただろうな。
となると、小林秀雄も読まなくちゃなあ。
アメリカ文学を専攻してるのに、近代の日本文学は本当に魅力的だ。
でもいいのだ。
これは趣味でいいのだ。

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