へんてこな この場所から / 桜井鈴茂

この本は捨てられないし、誰にも売れない。
私と彼と彼を繋ぐ、大切な書物。
2016年が終わる頃、だったかもしれないし、2017年が始まっていたのかも。
定かではないが、六本木のバーに飲みに行った。
友達に誘われて。
結構、かなり、想像と違った。
思っていたより、薄汚れてくたびれたバーで、
マスターからは、不健康そうな咳が響いた。
煙草を吸うのも躊躇われた。
はずなのに、うっかりしっかり吸ってしまった。
寂しそうにアイコスを吸っていた。
彼は言った。
末期ガンなのだと。
確か、食道癌と言っていた。
私は、と言えば、吸い出してしまった煙草をうやむやに辞めれず、
そのまま夜が進んだ。夜を進めた。
今になって思うと結構不躾だけれど、
なんでそんな病気になったんですか、
と、聞いた。
案の定、長年にわたる煙草と酒のせいだと言われた。
心当たりがあるらしかった。
そして、娘のように心配された。
そんなにお酒を飲んで、煙草を吸うのなら、
ちゃんとした保険に入っておいたほうがいい、と。
癌になってからでは入れる保険なんて無い。
そして、癌の治療費が半端ないことを。
だからこの本を貰ったのは、本当に偶然だった。
本当に偶然、私がこの作者を知っていたし、
彼も知っていた、それだけだった。
東京は狭いし、と、思った。
し、繋がりそうな界隈だな、とも思った。
だって、バーだし。
だから、繋がったことに、何も疑問は抱かなかった。
一作前の小説について、思うところを述べ合った結果、
新しい小説がある、俺は読んだから君にあげる、と言われて、貰った。
疑問も、疑いも、不安も、感じなかった。
その後、彼は死んでしまった。
癌には勝てなかったらしい。
サバゲーと女装が大好きだったらしい彼は、今、私のこのタイピングする姿を天から見ているか?
いつか読もう、と思って、手元に置いておいた本も、
なかなか自発的に読むタイミングが無く、
仲介人が亡くなってしまったと知って、
まるで遺言のように重く手にする。
How do you think now there.
Your son must be angry about you.
Cause you’ve died so easily and early.
What do you think now.
Above there.
Are you alone, or are you with someone.
It is still disaster here.
As you know.
As you knew.

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