心はあなたのもとに / 村上龍

本のあらすじを読んで、一型糖尿病の文字を見て、
条件反射のように買った。
そうか、私は今まで一型糖尿病を扱った小説なんて読んだこと無かったな。
多くの人がそうなんだろう。
だからいまだにしっかりと認知されていない病気なんだ。
一型糖尿病。
何を隠そう、私も一型糖尿病の患者である。
2016年に突然発症したこの病気は、辛い。
死ぬまで私を苦しめる。
本の感想は、私、香奈子とは、あんまり、仲良くなれなさそう。
どんな外見なのか、イメージがわかなかった。
アベマチコとかミサキは私の中で出来上がってるんだけど、
香奈子だけは最後までふわふわしていた。
そういう風に描かれてたのかな?意図的に?
そして、西崎さんとも出会うことは無さそう。
彼の生き方も考え方も、私が知らないタイプの人だった。
すごい、アメリカンサイコみたいに完璧で恐ろしい人だな。
そんな中でも香奈子と出会って人間味を感じたのは分かる。
外資系の投資家はあんなに派手な暮らしなの?
すごい。一生交わらなさそう。別にいいんだ。
この本読んで、なんだかあんまり幸せじゃ無さそうって思ったし。
でも、香奈子、もっと、強く生きてよ〜って、
本の後半半分はずっと思ってた。
私、弱い人嫌い。見てるだけでもムカつく。
だから、ずーっと遠ざけて生きてきた。
人前で涙流す人、すぐ弱音吐く人。
徹底的に排除してきた。
だからなんかもう、精神的にも肉体的にも痛くて辛い状態の香奈子を読まされるのが、拷問だった。
私は一型糖尿病で、今までに4回入院して、それはつまり、
4回死にかけて、4回の奇跡を経て、今5回目の人生を生きているようなもんだ。
昏睡もあるし、そうじゃ無いのもあった。
高血糖も低血糖もどっちもめちゃくちゃ命に関わるのに、
それを身体が一切コントロールできない病気。
クソ辛い。でも私は弱音は吐かない。
病気が発覚したときに、担当の看護師さんがものすごく心配してくれた。
今、気分、とか、大丈夫ですか、って。
私は、あっけらかんと、え?なんでですか?と答えた。
病気を知ってうつ病になる人が多いらしい。
一生治らない。一生インスリンを打ち続けなくてはいけないという現実に、
ガツンとやられるらしい。
当時の私は、今でもびっくりするくらい、あっけらかんとしていて、強くて、
まあ、なるようになるでしょ、と言った。
そう思う以外にどうしようも無かったし、
それ以外の感情も沸いてこなかった。
一番の理由は、私が原因では無かったこと。
お酒やタバコや不摂生や、そういうのは一切関係なくて、
誰にでも起こりうる病気だということを知ったときに、
ホッとして、強気になった。
ほな、しゃーないやん。
そのあとはもう、ありのままの私を受け入れるだけだった。
できなくなったこと、失ったこと、痛くて悲しいことなんてあげればキリがない。
もう二度と健康だった私に戻れないなんて、いつだって胸が張り裂けそうに辛い。
でももう、しょうがない、そう思うしかなかったし、
幸い私はそれをどうにかポジティブにできてる。
最初、病気が発覚して、退院した後に、一型糖尿病患者の集いに参加したことがある。
私は新米だったし、病歴が長い人たちがどのように、この病気とうまく付き合っているのか、
女性なら、仕事とか、結婚とか、妊娠とか、いろいろ気になってることもあった。
蓋をあけてみたら、最悪だった。
得るものなんて何もなかった。
みんな悲劇のヒロイン気取ってて、男も女も、患者の家族や恋人までも、
ただ悲観して悲壮な人々が慰め合ってるようなそんな雰囲気だった。
講演者の話はとてもためになった。
幼い頃から一型糖尿病患者で、でも今は医者になって、
しかもフルマラソンも走れる、と言っていた。
希望だった。
そうじゃない人たちが、しょんぼり、シクシクしている話を聞いているうちに、
私はだんだんイライラしてきて、その集いが終わって帰る頃には、
同行してくれた恋人に、あんなもんは二度と行かん、とプリプリしていた。
恋人も同感だったようだ。
その集いで会社の上司に会ったのも驚いた。
そんな病気だったなんて聞いたことなかったし。
良い立場の上司だった。
もしかして、隠しているのかも、なんて思って、
それ以降どうやって接したらいいのか分からなくなった。
まあ、一型糖尿病の話は長くなるのでやめましょう。

私は弱い人間が嫌い。
弱さを見せる図々しさが嫌い。

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