推し、燃ゆ / 宇佐見りん

DMMで本を購入すると70%オフ!のキャンペーン時に、めちゃくちゃ悩んで、ギリギリまで悩んで買った本。

久しぶりにデジタルで読んだ。やっぱあんま好きじゃないな。紙のほうがいい。

自分が今、物語のどこらへんにいるか分かるから。

これは現実世界じゃ生きていて自分の人生の今どこらへんかなんて分かりっこないし、本を読む時だけの特典だと思っているので、それくらいはせめて味あわせて欲しい。

と、今回初めて思った。底の見えないプールに沈んでいくみたいだった。

芥川賞受賞作品ということで気になって読んでみた。

表紙アートはダイスケリチャード。

小説の内容は、いかにも現代っていう感じ。『コンビニ人間』みたいな。

作者は現役大学生。21歳。そりゃそうだよね。

とは言え、やっぱり芥川賞受賞が気に入らない。

文学的な表現と手法で書かれている部分もあったけど、扱う題材があまりにも現代すぎると私は興ざめしてしまう。しかもまだ大衆文化にもなっていないような気がして。

え?大衆文化じゃないよね?推し文化に対して、一体どれくらいの人が同感できるのか?インスタライブとか、そういう、インターネットを自由に漂う人の生き方を、一体どれくらいの人がしっかりと描けるのだろうか。

若いから、新しくて尖っているから受賞したのか?

と思って調べてみたら、やっぱりそうか。SNSでバズってたのね。結局熱心な読者は10〜20代の女性か。なんだかねえ。彼女らの多くが文学を理解できるとは思えん。

私は推し文化から対極のところにいるから、心が軋むような、背骨に響くような、そんな感情は分からない。でも、そうなんでしょうねえ、と、情景をリアルにはイメージできる。対極にいるから。

尊くて、瞳に映る景色や指先のほくろまで無差別に愛してしまうような、そんな気持ちも分かる。ファンを殴ろうとも、自分勝手な行動をしようとも、指輪を付けていようとも、愛し続けてしまう気持ちも分かる。だって、そこで終わったら、今までの自分を否定しちゃうみたいだもんねえ。費やした、お金や時間、エネルギーはなんだったんだ、ってなると悲しいもんねえ。

推しを推す=自分になると、推すのを辞めるのは自分を辞めることになっちゃうもん。

そうならないために、どうにか脳内でうまいこと感情を変換して、どんな場面でも盲目的に愛してしまうのではないか。そしてそんな自分を愛しているのではないか。

物語はただ淡々と、炎上し続けている推しを推し続ける。思うように行動できなくて、家族ともスムーズにいかなくて、でも推しだけが魂。色々不器用だけど、まっすぐな、可愛い主人公。推しが芸能活動をやめてしまって、魂の行くあてがなくなって、紐の切れた風船みたいにフワフワ飛んでって、最後の綿棒ぶちまけは、火葬か。

本当に淡々としてた。

なぜだか私は番狂わせ(どっちが?)を求めていて、推しが、実は女だったら面白いのに、と思った。いや、多分最初から「彼」とか書かれてたから、ありえない展開なんだけど、例えば「みゆき」みたいな名前だけで推しが描かれていたとして、いろんな形容詞で褒め飾って人生かけて熱烈に愛するけど、それが男だってことはどこにも書かれていないとして、女性が女性アイドルを熱烈に推してた、のほうが、なんか、もっと色々考えさせられて楽しいのに、って思っちゃった。

そうなってくると、主人公もできれば性別を曖昧にしておけば、もっと多くの読者と密に繋がるのかもな〜とか。

だって、推しのグループが男女混合っていうのが、かなり意外で。だって、普通、推しの近くに異性がいるの嫌じゃない?そういうグループのメンバー、推せなくない?普通じゃないの?よくわかんない。

なんせ、男女混合って聞いたから、所々、あれ?これ推し女だっけ?とか思っちゃったりして、そのその想像のほうが、小説よりもずっと楽しかった、って話。

あとは、住所特定して近くまで行ったシーンで、お?やっちゃうのか!?と思ってワクワクしたけど、結局、謎な女性を見ただけで終わるってね。

まあそりゃそうだよね。結果、あのシーンはそれで良かったと思う。よっぽどリアルだった。

そんなにみんな共感できる話なの?推しがいないと生きていけない人がそんなにいるの?私はあんまりそれが幸せだと思えないので、このままでいい。自分と楽しく生きていく。でも、推しがいなきゃ何にもなかった、って人にとっては、推しは本当に尊いものだから、あなたと推しの関係が永遠に続いたらみんな幸せなのにね、と素直に思う。

確かに生きていて、呼吸をしていて、姿を見たり会えたりするほうが幸せ度は高いかもしれないけれど、老いていくし、変わっていくし、いなくなるし、罪を犯すかもしれないし、そう考えると、ドラえもんを推し続けるほうが幸せなんじゃないかなあ。

そう言えば、これは小説とは全然関係ないけど、同担拒否という心境についても謎で、いかにも現代っぽい、歪んだ感情だなと常日頃思っている。どうでもいい話。

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