泥の河

最後、悲しすぎて泣いてしまった。

きっちゃん。。。

1977年の宮本輝の小説を、1981年に映画化。

昭和30年。1955年。そうか、戦争が終わって10年の頃の日本って、あんまりちゃんと知らなかったのかも。

お父さんが、「戦争で死んでいれば」みたいなことを何度か漏らした時に、そんなふうに考えたことなかったけど、でも確かにそうかも、って思った。

生き延びてもさ、人生うまくいかなかったり、辛いこと重なると、戦争で死んでいれば良かった、なんで生き延びてしまったんやろ、って思うよね。

解散し損ねたバンドは、みんな壁にぶち当たるたびにそう思いながら乗り越えていくんだ。

あそこで解散して綺麗に散っていればよかった、ってね。

戦争中のほうが「生き残ってやる!!!」って、強い気持ちで生きれるだろうけど、終わってしまったら、ちょっと放心状態になるよね。

10年じゃ、全然その状態だよね。あまり想像したことのない世界だった。

信雄はうどん屋の一人息子。戦争を生き延びた父ちゃんが歳とってから作った子供。

両親に愛されている。河の向こう岸に船が泊まる。その船には人が住んでいて、同い年の喜一(きっちゃん)と仲良くなる。

きっちゃんはボロボロの靴を履いているし、学校にも行かない。

小さな船で暮らしていて、お姉ちゃんの銀子と姿の見えないお母さんがいる。

大人の話によると、お母さんはその船で体を売って生活をしているらしい。

きっちゃんと仲良くするのはいいけど、夜は行かないようにね、とだけ言われる。

信雄の両親はきっちゃんと銀子にとても優しい。

いっぱい食べさせてくれるし、手品も見せてくれるし、ママは銀子が可愛くてしょうがなくて、ワンピースをあげたり一緒にお風呂に入ったり、たまにお店も手伝ってもらう。

天神祭。懐かしくなっちゃった。天神さん。本当はお父さんと一緒に3人で行こうねって約束してたのに、どっかに出かけたまんま帰ってこないから、きっちゃんと信雄は二人で行くことに。ママがそれぞれにくれた50円。きっちゃんのポケットは穴が空いてたから落ちちゃって、何にも買えなくなってしょんぼり帰る。

申し訳ないと思ったのか、きっちゃんは自分の船に信雄を呼んで、まだ遊ぼう、宝物見せたる、という。

カニに火を付けて遊ぶきっちゃんに、やめなよ、かわいそうだよ、と言って、カニを追っているうちに、隣の部屋で体を売っているきっちゃんのママと目が合う。

察したきっちゃんの切なさ。すれ違う銀子も無視して帰る信雄。

ふてくされているうちに、翌日、きっちゃんの船は去ってしまう。

走って追いかけて、ずっときっちゃんの名前を呼び続けるけれど、お別れ。

ああ、悲しい。非常に悲しい。

すごいなあ。白黒の映画も久しぶりに見たけど、子役2人のパワー、半端ないなあ。

調べてみたら、きっちゃんの子役も、信雄の子役も、今どこで何をしているのか全く分からない。

きっちゃん、めっちゃ良い表情だけどね。悪戯っぽく笑う、かわいい子。

驚いたのは、加賀まりこの美人さ。まじか。和製ブリジット・バルドーか。なるほど。

もう映画全体の絵の中で浮きまくってるくらい美人だった。

あと、信雄のお父さん、優しい目でかっこいいなあと思ったら、田村正和のお兄ちゃんで、そもそも田村兄弟というのはみんな俳優でみんなイケメンで、すげーなと思った。

天神さんの夜、お祭りの夜の記憶って、いつになってもものすごくリアルに蘇るし、なんでいつもこう、影があるんだろう?

お金握り締めて、なぜかいつも緊張しながら行く、暑くて汗だく。

慣れない下駄で足が痛くなったり、刻一刻と迫る門限との戦い、みんなといたいけど、親との約束は守らなくちゃいけない。

なんだかいけないことしているような気になって、無駄にドキドキして、それがなんのドキドキなのか分からないけど、家に帰って涼しくて、浴衣脱いでスッキリして、泣きそうなくらい安心して、それでも確かに成長して。そんな夏を繰り返してみんな大人になるんだ。

私の過去の思い出は美しすぎて直視できない。

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