
山下清の甥にあたる山下浩さんによる作品。
清の文章を引用されると、かなり鮮烈に覚えているので、「知ってるもんね〜」という気分になるのだが、丁寧なバックグラウンドを書いてくれるので、これは非常に助かった。
例えば式場先生。清の文章だと、突然当たり前のように出てくるが、式場先生がどういう人でどうやって出会ったのかなどが分かって助かった。
八幡学園の顧問医の精神科医。美術と文学をこよなく愛し、日本医科芸術クラブを結成した。
これ!ヨーロッパぶらりぶらりで一緒に旅をしていたのはこのクラブの人たちだった!!
しかもゴッホの作品の収集や研究もしていた式場先生。
ははあ。つながるぞ〜。ヨーロッパぶらりぶらりでの会話や出来事がつながるぞー!
ヨーロッパぶらりぶらりでは挿絵は清の作品だけだったので、想像するしかなかったが、この本には、貴重な写真がたくさん載っていて、そこに式場先生も写っている。
白髪で体は大きく、優しくて頼れそうな人だ。
そしてとても賢い人だったのだろう。
著者にとって、山下清は叔父、ではあるけれど、ただの叔父ではなく、生まれた時から一緒に住んでいるのだし、著者の両親の結婚時点からずっと山下清中心に回ってきているのだから、かなり近い家族だ。
そんなふうに内側から山下清を知れるのは、とても面白い。
いつも思うけれど、ある特定の事象について知りたいなら、いろんな角度からの本を複数(そして多数)読むに限る。
点が線になり、線が面になり、それが立体になって、よりくっきりと形を持って見えてくるからだ。
その中に何度も同じことが書かれているので、その事象の本質として、かなり自分に馴染むようになる。


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