ぼくのこと、ミッフィーのこと / ディック・ブルーナ

表紙の優しそうな笑顔。真っ白くて形の整ったチャーミングな口髭。

うさぎみたいな人だ。

と思ったら冒頭でいきなり卯年生まれだと言うので、深く頷いた。

手書きのメッセージにも人柄があふれていて、77個の質問に対する丁寧な返答にも誠実さがあふれていて、なんて美しく晴れ渡った誇り高き人生なんだろう。

邪悪な概念が一つも無く、無垢そのものであり、インタビュー中の幸せそうなブルーナさんの顔が思い浮かぶと、だんだんどんどん自分が惨めになる。

眩しすぎて見てられないような人だ。

親の出版社を継ぐことを拒み、絵を描く道を選んだ。

それを、親にも自分にも一番win-winな方法で。

恋をした女性には一途に、2度目のプロポーズでOKをもらう。

息子のシルクに語った話をもとに、ミッフィーが生まれる。

そのあとはもう仕事が楽しくて仕方なかった。

絵と音楽と読書に彩られた人生。

涙が出そうなくらい美しい人生。

あまりにも尊すぎて、あんまり参考になることがなかった。

真似できることももうあまりなくて、根本的に違う、と言うことだけよく分かった。

忘れたくないことは、ミッフィーは最初は男の子でも女の子でもなくて、ただのうさぎの子、どちらかというと男の子っぽいイメージだったけど、『うさこちゃんのたんじょうび』の絵本を描くときに、「ドレスを着せたい」と思った。この時点でミッフィーは女の子といいう設定が生まれた。

さすがデザイナーなので、絵本のサイズにもこだわる。

子供でも持ちやすい小さいサイズに、文章と絵をきれいに見開きで並べられる正方形に。

色は、オリジナルの6色+黒。

赤・青・黄・緑という非常にシンプルな4色が原点で、後からグレーと茶色が加わる。

それぞれが主張する強さを持ちながら、隣り合ったときにそれぞれの色味を損なうことなく、互いを引き立たせる色。

時間をたっぷりとかけてにじにじとしたラインでキャラクターを描く。

もちろんここに至るまでにはもっとたっぷりと時間をかけて無駄なものをそぎ落とす。

そしてそのにじにじのラインに合わせて、ブルーナ・カラーの紙を切り抜き、並べる。

もちろん配色を決めるのにも、たっぷりと時間をかける。

ブルーナ・レッドは、どう見てもオレンジじゃん、と思っていたけれど、ミッフィー展で原画を見て、ああ、本当に赤なんだ、と思った。

衝撃だった。

2017年に亡くなってしまったブルーナさんの人生が最後まで、紛れもなく幸せであったことを願う。

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