Cobain Unseen / Charles R. Cross

久しぶりに洋書を読んで、思いのほかスラスラと楽しく読めて、5,6時間くらいで集中して読了。

素晴らしい本だ。

カートの残した資料に忠実に基づいて、関係者の言葉も雑誌や、家族や、メンバーや、恋人など、偏ってなくて、中立で、読みやすくて、そう、とても読みやすくて、英語で1日で読み終えてしまった。

カートの人生が、色とりどりに詰まっていた。

幼い頃のトラウマ。両親の離婚。親戚をたらい回しにされたこと。

胃の不調。背中の痛み。それによる投薬。

小さい頃からナイーブで敏感だったカート。

あんなに絵が上手だったとは知らなかった。

そしてたくさんの芸術品、ゲーム、おもちゃ、人形を集めていたことも。

パンクロックに出会って人生が変わったこと。

ロックスターになる、って夢見た瞬間。

サブ・ポップからブリーチ。

そしてゲフィン・レコードからNevermind。

なんと、この一単語は、英語的に間違っているから、という理由と、Sex Pistolsへのオマージュも含まれていたなんて!!

全然知らなかったけど、カートがこんなにバンド名や、アルバム名に、信じられないほど長い時間をかけて悩んでいたとは。。

分かるよ、アルバムなんて、曲よりもタイトルの字面でしょ、というのは非常に分かるし、バンド名だってアルバム名だって、これだ!ってのにはしたい、けど、本当に長い時間をかけて、歌詞も、悩んでいたみたいだ。

苦悩の果てに生み出した人だったのね。

いや、言葉も楽曲もかなりの量を書いていたんだろうけど、公式なもの、人に出す手紙、みたいになるのには、何度も推敲して、彼の中の満点を取らなくちゃ世に出させてもらえなかったのだろう。

それゆえに、いらない成分、その、濾過した、汚い方のやつ、みたいなの、いっぱい溜めすぎたんじゃないんだろうか。

そういう、とごってるやつも含めて、えいやって産み出したほうが楽なんだけどな。

1991年。

Smells Like Teen Spritは、コートニーの前の彼女(Bikini KillのTobi)のものだったのに、Nevermindが売れて、富と名声を手にしてからは、ずっと横にコートニーがいる。

すごい女性だ。

育った境遇が同じ、という。誰も理解してくれなかった、孤独を分かち合える。

似てたのだろう。

そしてカートは薬に溺れていく。

メンバーとも疎遠になり、子供もできたりしながら、なんとかIn Uteroを制作。

賛否両論。

そしてツアー中に死亡。

In UteroのHeart-Shaped BoxのMVに出てくれと、ウィリアム・バロウズにFAXを送って頼んだらしい。

断られたが(薬のせいで、本人と分からないようにメイクしても良いから、とも言ったのに)、その後カートはバロウズと訪ねて、二人とも、薬はせず、アートについて語ったという。

死ぬ間際のカートは、文章を読んでいるだけでも、生きているのがギリギリで、うつ病って、もっとインナーなものかと思っていたけれど、こんなにも溢れ出るんだ、ってくらい、死のオーラをまとっている。

それは彼がもっとずっと幼い頃から、捉えられて逃げ出せなかった呪いなのだろう。

オーバードーズを何度も繰り返し、たびたび生命の危機に遭い、最後は拳銃で自殺した(とされている)。

彼みたいに繊細な人は、きっと今の時代なんてもっと辛いだけだから、90年代のうちに人生を終われて幸せなんだと思う。

パンク・ロックだ、ロックだ、ポップだ、と言ったって、今の時代には、もうあの頃のかけらもないよ。

きっと嫌になって自殺しちゃうだろうから、無理して長生きしなくたって良かったと思うの。

映像も、フライヤーも、ジャケットも、歌詞も、こだわり抜いたあなたが、死に物狂いで産み出した宝石を、私たちは今日も崇めて生きてる。

これでいいんだよね。

星になったんだよ。

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