ドライブ・マイ・カー

村上春樹原作と聞いて、まずは本を買って読んだ。

あんなに短い話がどうやって映画になるのだろう、そしてアカデミー候補に選ばれるなんて、どういう作品に仕上がったんだろう、とずっと思っていた。

見始めて早速、おや、この件は知っているけど、「ドライブ・マイ・カー」じゃなかったよな?と気付く。

それもそのはず。つい最近読んだばっかり。非常に印象的だったシェエラザードの話である。

見進めていくうちに、そうきたか〜となる。小説では描かれていなかった、奥さんが生きていた時のことがたっぷり描かれていた。幸せのように思えた日々。

奥さんは小説では女優だったけど、映画では脚本家になってた。

いやー、「ドライブ・マイ・カー」と「シェエラサード」をマッシュアップしてくるとは。さすが。

ドライバーの女の子は、イメージ通りだった。素晴らしい。

あと、小説では車は黄色かったけど、映画では赤かった。赤いほうが、良い画だ。

主人公の家福も、西島秀俊でピッタリ。

広島へ大移動する時に「???」となったし、その前の家福の演劇のシーン、いろんな言語が入り混じって、スクリーンに多言語に翻訳されていて「???」ってなった。

そこら辺が小説では描かれていなかったので、びっくり。もうただついていくだけ。

舞台を作るために、広島に呼ばれ、2ヶ月滞在する。世界中から役者がオーディションに来ていて、それぞれの言語でセリフを言う。

本当に、なんか、だって相手がどこまで喋ったか分からない訳だから、自分のセリフ言うタイミングなんてわからないよね。そんな失敗をみんな繰り返して、毎日飽きるくらいセリフを読み合う練習をしていた。

亡くなった奥さんと一度家福の舞台を見に来たことがあった高槻という男。これも、小説じゃ全然こんな出会い方じゃない。確か、弔いの言葉をくれた時に、2人で話しませんか、みたいに誘ったんだ。映画の高槻は自らオーディションに応募してきて、まあまあな演技をするのでヴァーニャ役に抜擢される。この岡田くん、あの映画にも出てた。なんだっけ。「そして、バトンは渡された」ね。あの役もどうかと思ったけど、今回もなかなか曲者。

高槻はたまに家福と2人で飲みたがる。そもそも役者として事務所に所属していたのに、女関係をすっぱ抜かれて首になって、今はフリーランスでやっているのだ。なのに、舞台の共演者の中国人の女の子にも手を出す。2人で稽古に向かっている途中で、家福の車に気付き、焦ってスピード上げて、オカマほって、警察沙汰になって、2人して舞台稽古に遅刻。分別を持てよ、と家福が言った言葉が最後の最後まで大きくなって響く。

高槻はワイドショーで話題の役者なので、行く先々で写真を撮られる。キレやすく、すぐ手を出す高槻。あの日もそうだったのだ。バーで写真を撮られて、キレそうになったので、家福が止めて、もうお金払うから出よう、って、そしたらその写真撮った奴が表まで付いてきて写真撮ってた。追いかけていって、しばらくして何にもなかったかのように戻ってきた高槻。あそこで顔面殴打してたのね。そして殴られた彼は死に至る。

その日の帰り道の車の中の高槻はすごく良かった。家福が途中までしか聞いてなかったシェエラサードの話(好きな男の子の家に空き巣に入り続け、とうとうベッドの上でおナニーをしているときに誰かが階段を上がってきた)の続きを知っていた。

階段を上がってきたのは、家の人ではなくて、別の空き巣で、女の子は襲われそうになり、近くになったペンを目に刺す。(死んだんだっけ?)血だらけの男を置いて帰る。その翌日も、好きな男の子は普通に通学してくる。でも家の鍵は変えられたし防犯カメラもつけられた。そのカメラに向かって何度も言う。「私が殺した」。みたいな。

そして、奥さんと25年間も一緒に過ごした家福は幸せだ、奥さんは嘘をついたり騙していたわけではなくて、浮気も含めて全部が奥さんなんだと。相手を見つめることは、自分を見つめること、みたいなことを言ってて、ドライバーの彼女もなかなか感心していた。

バーから高槻のホテルまでどんだけ距離あるねん、と思ったけど。

翌日の稽古、高槻は素晴らしい演技をする。でも警察が来て暴行致死容疑で逮捕される。もちろんヴァーニャ役として舞台に立てない。家福、どうする?ってゆーので、舞台をキャンセルするのか、もしくは自分がヴァーニャとして立つのか、考える時間はあと2日。そこでドライバーの地元である北海道の町に行こうという。

広島からだよ、、ハードすぎる。フェリーがあるとはいえ、ハードすぎる。11月で寒そうだし、冬タイヤ、履いてなくない?北海道はかなり雪が積もってたけど。

土砂崩れで無くなった実家がある場所に行く。虐待をする母親を見殺しにした場所。

二重人格だった母親の片面はとても愛していたけれど、それも含めて見殺しにした。

だから家福も、奥さんの全部をしっかり見てあげないと。家福は後悔した。もっとちゃんと話せばよかった、怒ればよかった、悲しめばよかった、と。さめざめと泣く。

結局家福がヴァーニャ役として舞台に立って、大成功。

ドライバーの女の子は韓国に。土砂崩れの時に頬に負った傷は綺麗に消え、あの助監督?みたいな韓国人の男性と、その奥さん(手話の人)が飼っていた犬を連れて、家福の車に乗って、幸せそうである。

うーん、これは、濱口竜介監督がとんでもないことをしてくれたな。

村上春樹の小説をマッシュアップだなんて、しかも、完全にアカデミー(海外の賞)を狙った脚本作り。広島、北海道、そしてあの多種多様な舞台役者。

本が映画になるっていうのの、新しい次元を見た。それこそ「そして、バトンは渡された」なんかより、ずっと、昇華している。

素晴らしい。今月末か。取っちゃうかもなあ。

心から納得しちゃうな。

素晴らしい映画だった。

3時間もあるけど、全然、ケータイ見る気にもならない(家で見たからね)。

邦画特有の沈黙もなかったし、なんかみんなのセリフ、違和感あったけど、途中からなくなってきちゃった。春樹ワールド。

素晴らしいです。

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