君はフィクション / 中島らも

久しぶりに読んだ、らも。

やっぱり大好き。

デコチンは、読み始めは「タイトルの意味はなんなんだろう?」と思わされるのに、ストーリーが始まると一気にのめり込んでしまって、下北沢や渋谷のライブハウスが見えてきたり、バンドの鳴らす音までがしっかり聴こえてくるので、起承転結の「結」のあたりでやっとタイトルのことを思い出して、全てが美しく繋がるのである。

やっぱり大好き。

一緒にお酒を飲んでみたかった。

彼が話す全部嘘の話を肴にお酒を飲んでみたかった。

巨大なスッポンの話もやはり起承転結が秀逸なのである。

らもの話は酔っ払いのようにいろんな店や路地を右往左往するくせに、最後にはちゃんと美しく帰宅するから好きだ。

帰巣本能の美しさが描かれている。

だから安心して読める。

彼の物語を読んでいて私は道に迷ったり途方にくれたりひとり逸れることもない。

ついて歩けば、ちゃんと家に帰れるのだ。

あと、らもの書く恋物語も好きだ。

らもの書く恋物語は、信じられないくらいピュアなのである。

「結婚しようよ」なんて、透き通って見える。

たぶんピュアな人なので何を書かせてもピュアな文章なんだけど、とりわけ恋物語を書かせると、透明になれるのである。

それはいつも私の心に波紋を起こして、くすみを取ってくれる気がする。

どうもありがとう。

ねたのよいー山口冨士夫さまへーも素晴らしい。

景色が浮かぶ。

最後の解説のおかげで、らもが死んだ日にはギターを持って山口冨士夫のライブを観に行って、楽しい時間を過ごしていたのだと知った。

その後階段から落ちたのだ。

幸せだったでしょう。

娘さんの解説の文章も良かった。

らものまわりにいる人間や、らもに関わる人間がみんな好きになる。

そんなところもらもの魅力なのだろう。

また今年も7/26が来るよ。

献杯するからね。

追記

山口冨士夫じゃなかった。

三上寛だった。

らもが死ぬ日にライブを観に行って飲み交わしたのは。

三上寛はデコチンの中で主人公がフェスでライブを観るシーンがある。

そのデコチンこそ、らもの死の3日前に書き上げた、遺稿だったのだ。

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