
タイトルはなんか聞いたことあった。
作者については情報ゼロだったけど、ブックオフで購入。
A級戦犯であった広田弘毅の一生を描く。
福岡の石屋の息子から、外相となり、首相となるシンデレラストーリー。
彼は、無欲で、自らの利益を求めることなく、慎ましく、賢く、国のために、平和のためだけに生きた。
また同じような無欲な奥さんと、愛すべき子供たちと、最後まで無私に生きた。
他のA級戦犯たちは、殺されて当然だったのに、なぜ広田が、と思わせられる。
A級戦犯たちについての雑誌を過去に一言一句読んだので、二周目をなぞっているみたいで、イメージしやすかった。
前後の満州での事件や、アメリカを巻き込むあたりも、すでに履修済みだもの。
でもあの雑誌を読んだ時には、広田の名前なんて、記憶にも残らなかったな。
こうやって一人の人生に焦点を当てた小説を読むことで、彼という人物が今私の中に生きている。
戦後に憲法を組み直す件があったので、私はいつ白洲次郎が出てくるかとワクワクしていたが、出てこなかった。
違う小説が、このように近い世界線で生きているのも嬉しい。
書評にもあるが、城山三郎にとっても代表作なのだろう。
素晴らしい完成度である。
これを読んだ人がみんな広田を深く知り、広田のことを好きになる。
小説とはこうあるべきである。
日本人じゃら知っておくべき事実だ。こんな人が存在していた。
もちろん「戦争を止められていないじゃないか」という批判もあるらしい。
言っても国家と国家がぶつかり合うのを、一人の両手で止められるわけはない。
今の時代にもこんな人がいればいいのに。
そうだった。投獄された後の広田の弁護士が、確か最初は花井さんだった。
その後目眩く担当が変わるのだが。


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