
実家にあったのを持ち帰ってきた。
背表紙には260円と書いてあった。
古き良き時代。
昭和46年の初版の文庫本である。
一体どれくらいの若者が、この本を読んで当時奮い立ったのだろうか。
とは言え、半世紀以上経った今、私が読んでも、懐かしいと同時に奮い立たせられるのであるから、やはりサリンジャーは偉大だ。
というか、大好きなのである。
結構前に読んだのに、文章に起こせずにいるうちに記憶が薄らいでいった。
この本では大きく「初期短編物語群」と「グラドウォラ=コールフィールド物語群」に分けられているのだが、ざっくり比較すると、後半のほうが作者の想いが乗っているな、と感じた。
想像や空想と実体験のバランスが、前半と後半では異なっている気がした。
後半のほうが、よりリアルな気がした。
それが作者をいかにも投影している気がして、これはもはや自伝なんじゃないかと思った。
解説やあとがきを読んだら、私が思ったことがそのまんま書いてあって、綺麗に分析されていた。
武田勝彦さん、素晴らしい。
インプットからアウトプットまで全てこの一冊の本に詰まっていた。
コールフィールド物語群はもちろん、『ライ麦畑でつかまえて』の原型である。
久しぶりにもう一度読まなくちゃ、と思った。
大好きな、米文学。
私が私であることを思い出させてくれる。信じさせてくれる。認めさせてくれる。
そしてなんとなく、文庫版の初版であるなら、この本はなるべく大事にしようと思った。
間違っても酔っ払って風呂に落としてはいけない。


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