八日目の蝉 / 角田光代

やっと読めた。
映画を観たいと思って、その前に原作を読みたいと思って、本を買っておいたけど、長らく手を付けていなかったのに、読み始めたら一瞬だった。

フェミニストたちの物語、か。

一部は母親、希和子の物語。
不倫していた男性の子供を孕ったのに、産むのに賛成してくれなくて、堕ろして、自身は子供が作れなくなった。
そいつの子供を、赤ちゃんを拉致するところから始まる。
なんて、後先も考えない無鉄砲な行動。
逃げ続けることになるなんて、分かりきっているのに、これが人間の衝動か。
旧友を頼り、闇雲に名古屋に辿り着き、知らないおばさんの家に身を寄せて、宗教団体に入る。
訳あり女ばかりのホーム。外の世界では自分は拉致事件の犯人として指名手配されている。
外の世界と断絶された不思議な空間。そこにも警察が介入してくると知って、またも逃走。
久美が教えてくれた久美の実家の住所を頼りに、小豆島に辿り着く。
(小豆島は良い島だね、間違いなく)
そこでラブホテルで働き、たくさんの女性にお世話になって、さらには久美の実家の素麺屋で働くことになる。
久美のお母さんは、実によくしてくれた。
でも久美の写真が全国新聞で出回ってしまったので、もうそこにもいられなくなって、本州に帰ろうとしたそのフェリー乗り場で捕まり、愛娘とはバラバラになってしまう。
勝手に薫と名付け、勝手に誕生日を7月30日として、自分の都合で連れ回し続けた娘、世間を知らない娘。

二部はその娘、恵理奈の物語。
薫ではなくて恵理菜だった恵理奈は、自分の産みの親の元に戻される。
息苦しい日々。大学で家を飛び出すも、年上の妻帯者と不倫などする始末。
そこにホームで一緒に過ごした千草が突然現れる。
自分たちの過去に、ずっと伏せてきた過去に、直面する。
なのに恵理菜は妊娠する。大学生なのに。
産もうとして、二人で逃げ出して、小豆島に辿り着く。
フェリー乗り場で希和子とすれ違ったことは、二人は知ることはない。

確かに、女しか出てこない。
どうしようもない女、ホームの女、気難しいおばさん、無愛想なおばさんとその娘、そんな人たちにいつも助けられながら、生きて、逃げ続けた希和子。
これまたどうしようもない女同士が集まって、何かに向かって逃げ出す恵理菜。
わずかに出てくる男たちは、決まって不倫をする、ろくでもない男として描かれている。
変な世界。

セミは7年も土の中で眠って、やっと地上に出てきたと思ったら、7日で死ぬ。
悲しいけど、でもみんな同じ寿命なら、別に悲しくもないんじゃないか。
逆にもし、自分だけ8日目まで生き残った方が、辛いじゃん。
いや、辛くないよ、自分だけが見ることのできる景色は、希望ばかりではないかも知れないけれど、悲観するほどでもないだろうし、やはりちょっとでも新しい世界を見続けられるのは、素晴らしいことだよ。
という話。

コメント

タイトルとURLをコピーしました