花のあと / 藤沢周平

彼の文章を読むと、心が洗われる。

なんかもっと真面目に愚直に生きたい、と思わされる。

自分が汚れているかのような、今の時代なんて何にも良いことないような、気になる。

なぜだかうちの家族は祖父母も両親も藤沢周平が大好きで、これだけは共通の話題になるので、私はまだまだ読み進めたいと思う。大切な作家。

だって、『蝉しぐれ』を読んだ時の衝撃と言ったら。

ちょうど、14年も前か。
なんとなく、この晩夏に読むのがいいよね。と言いつつ、まだまだ真夏のように暑いけれど。

「解説」を読んでスッキリした。
なるほど、町人の話と、武家の話で、確かに全然違うのだ。
だとすると、私はとっても町人話のファンである。

『蝉しぐれ』は武家の話だったので、藤沢周平が描く町人話を初めて読んだということになる。

なんだもう、最高じゃないか。

しみったれた場末の酒場。お酌してくれる女性。大して綺麗でもない。
そんな毎日に、私たちは今生きてるんだ。武家ではない。どう考えても町人の方が感情移入できる。

この晩夏に読むのがいいねえ〜と言ってはいたものの、凍てつく空気を纏った小説が多かったのは事実。

『冬の日』
場末の酒場にて。誰だあの女、と思いつつ、帰り道で思い出す。
昔お手伝いに行っていたお店の娘。迎えに行って、お駄賃をもらったり。
そのあと酸いも甘いもあって、今は幸せではなさそうだ。
こちらは小さいながらもやっと念願の自分の店を持てたのに、仕入れの段階で詐欺に遭う。前途多難。
そんな二人がくっつく。良い話。

『旅の誘い(いざない)』
歌川広重に東海道五十三次を描かせる話。

『寒い灯』
姑が嫌で家を飛び出したのに、離婚もできないまま、夫がのこのこと、母さんの面倒を見てくれとやってくる。
バカ言ってんじゃないよ、だ。
でも、「去り状」(=離婚届みたいなもの?)を催促しようと、のこのこ家に行く。
弱った義母。掃除。洗濯。甲斐甲斐しく面倒を見る私。嫌いではない私。
ちょうどバイト先でいい感じと思っていた男性が、自分を娼婦として売り払おうとしていることを知る。
ロマンス詐欺。そして全て嫌になって、夫の家に帰る。いいと思う。

『疑惑』
旦那とうまくいっていなくて、不倫中の女が、不倫相手と共に旦那を殺害し、それを全て人相の悪い養子のせいにした。ひどい話。

『花のあと』
花見すら自由に許されていなかった時代。自家のテリトリーでは、昼間に限って、女子供が花見を楽しめた。
夕方からは男たちが来てしまうから。
そこで出会った道場の男性。お互いを認知していて、試合をすることに。
すっかり負ける女。そして深い恋に落ちる。
その男が結婚する女というのが、ちょっと知ってる年上の女で、良い噂の無い、なんなら、妻子持ちの男とできているなんて噂のある女だ。我慢ならん。
そう言っている間に、自分も大したことない男と婚約をする。
そう言っている間に、好きだった男が自殺をする。なんぜ!
婚約者にあれこれ働いてもらい、真相を突き止めると、やっぱりできているではないか。
自分が好きだった男と結婚したくせに、他に男が(しかも妻子持ちの!)いて、続いているなんて、けしからん。
女は、その男を殺す。
(てか嫁のほうを殺したほうがスッキリしない?)
そして後片付けは、婚約者に押し付ける。
結局その婚約者と結婚して、子孫が生まれました。それはお前らのことだよ、という、おばあちゃんの武勇伝、みたいなお話。

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