
私が観たの、アメイジング・グレイスだったんだ!という出来事があった。
渋谷のスクランブル・スクエアの屋上にある展望スペースで、2週間にわたり週末のみ屋外で映画を放映するというのだ。
映画は4つとも全部違って、音楽系で、どれも観たことなかったし、どれもおもしろそうだと思った。
秋の週末、晴れた屋上で、夕方からお酒を飲みながら映画を観るなんて最高、と思って、勇み足で初日に決めた。
展望スペースに入りさえすれば、映画代などは必要なく誰でも観られるらしい。
展望スペースに入れなくなると困るので日時指定券を買った。
スクランブル・スクエアのオープン以来、屋上の展望スペースは話題にはなっていたが行ったこともなかったので、ちょうどいい、と思った。
天気予報にドキドキしながらも、まあ、なんとか持ち堪えそうな雰囲気の当日。
私は昼間からウィスキーをガブガブ飲んでいたのに、さらにフラスコに並々と注いで、カバンに忍ばせ渋谷に向かった。
想像していたのと違うことが3つあった。
一つ目は、やや遅刻して行ってしまって、早く屋上展望台に行きたかったのに、とても混んでたこと。
受付をするまでのちょっとした行列や、エレベーターを待ったり。
私は一人ソワソワしていたが、ほとんどの人はカップルで、ゆとりがあって幸せそうだった。
そして屋上に着いてびっくりしたのは、その広さと人の多さ。
もっとこじんまりとした、映画のスクリーンの前に、4段くらい階段があって(それは本当にそうだった)、その後ろに人がちらほら、せいぜい50〜100人くらいが屋上に集まって、みんな一生懸命映画を観ているもんだと思っていた。
エレベーターで上がってすぐ、スクリーンがあって、その前に映画を見ている人たちが固まっているのだが、展望台スペースは、その何倍もずっと広くて、とんでもない景色で、とにかく私は映画そっちのけで、隅から隅まで2周歩いた。
とても綺麗。
東京タワーもスカイツリーも見えるし、あらゆる東京の夜景が、全て見えた。
どこかの一角にはフォトスポットもあって、流石にそこは行列になってた。
映画の音声も聞こえないような距離があって、少し離れたところでは、若い、堀米くんみたいな男性たちが8人くらい腹這いで輪になって、なんだか楽しそうに話していた。
ものすごく羨ましかった。
私はとても映画を観にきたつもりだったけど、あまりの景色に圧倒されてしまった。
これは、朝でも夜でも夏でも冬でも全部見たいかもしれないと思った。
二つ目は、全然、たいしたことないの。本当にどーでもいいんだけど、
私のイメージでは、ちょっと手狭なスペースで、なんかみんな瓶ビールくらい片手に、自由に映画を鑑賞するもんだと思っていて、私は絶対ジャックダニエルを飲みながら観たかったから、ちゃんと家でフラスコにたっぷりジャックを入れて行ったのに。
エレベーターで展望フロアに着いて、外に出る前に、携帯電話やカメラ以外は全てロッカーに預けてくださいというのだ。
つまり、カバンはNG。したがって、ジャックもNG。
うそー!と思いながら、ロッカー前でガブガブとジャックを飲み、ロッカーにしまい、外に出る。
意外とかなり厳しいのね。これはいつでもこうなのか?
まあ、しょうがない。
そもそも朝からジャックを飲みまくってた私は、終始良い気分で屋上をフラフラしていたが、それでも一生懸命、夜景や、映画の様子を携帯電話に収めたのに、この夜は撮影禁止だったと後から知る。
「個人で楽しまれるなら大丈夫ですよ〜」ととても感じの良い感じで言われた。
そして三つ目。これは本当に自分でもなんで!?とは思うんだけど、結局、アレサのなんか音楽映画を観た、という思い出だけでその日は終わった。
半分くらいは立って観てたんだけど、途中から座れるスポットが空いたから、そこに入って座った。
湿り気のある夕方の風が、たまにパラリと雨を降らすようになって、でも傘なんて無くても大丈夫な、そんな微妙な天気の中、少し寝てしまったりした。
心地良かったからね。
とにかくずっとアレサが、なんかさびれた教会で歌ってて、みんなが感銘を受けていた、そんな映画をスクランブル・スクエアの屋上で観た、という話を、この数日後に知り合いにしたら、「それってアメイジング・グレイスじゃない?」と言われ、え?そうなの?と思ってネットで調べたら、本当にそうだった!
アレサのアメイジング・グレイスといったら、初夏に映画館での公開が始まって、知り合いの多くが「とても良かった、アレサ最高、涙が出てきた」なんてSNSで投稿していて、もちろん私も気になっていたけど、タイミング合わず観に行けなかった、あのアメイジング・グレイスじゃん!!!
そして、それが、私が観たやつ!?と思うと、ごめんやけど、そんなに感動しなかった。
すみません。
これがアメイジング・グレイスや、って思いながら観たら、私も、すげー感動した、とか言ってたんだろうか。
タイトルも知らず、酔っ払ってのほほんと観た感じ、眠たくて寝た、というのが本音。
確かに途中、ストーンズのチャーリーとミックが出てきたところは心踊った。
こんなツーショットもあるのか、とも思った。
でも私、映画館で観ても寝ちゃってかもね〜。
というわけで、ポロポロと、後手後手でいろんなことが発覚して、fully楽しめなかったのかもしれないけど、それはそれで私にとってはちょー100%だったので問題ない。
良い、秋の日でした。
お天気、持ってくれてありがと。


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