
いやああああああー、つらかった。
美しくて、悲しかった。
2016年に公開された、白黒の映画。どこかでふわあっとカラーになるのかと思ったけど、全然そんな展開はなく、最後まで白黒であった。
タイトルになっているブルージェイは、映画の冒頭に出てくる珈琲屋の名前。
20世紀初頭に登場した比較的新しい色名。とも。どんな意味があるんだろう。
出演者は、ほっとんどふたりだけ。『ビフォア・サンライズ』みたいに、全編通して、二人の会話で彩られている。
途中ビールを買いに入ったコンビニの店主が、唯一コミュニケーションをした3人目の役者である。すごいな。ストイック。
地元のスーパーで出会う、元恋人の二人。
ジムは、母親が死んで、実家の家を掃除しに帰省。
アマンダは、妹は妊娠したのでお世話をするために帰省。結婚して子供も二人いる。
最初は「調子いいよ、最高」なんて言っていたジムは、実はそんなことなくて、叔父とやっていた建築系の仕事で叔父ともめ、職を失い、路頭に迷っていた。
アマンダは、幸せそうに見えるけど、かなり歳の離れた夫の言われるがままに犬の仕事を始めるが、大好きだったグレート・デーンについては己を出せずにいる。躁鬱剤を飲んでいることも、夫には言えていなかった。
そんな二人がそんな話をしながら、ジムの家で一夜を過ごす。
私はしばらくずっと、スーパーで妹のために買ったアイスクリームが車の中で溶けていく様子を思い浮かべてはやばいやばい、大変なことになると思っていたが、途中で、二人と同じくらい、アイスクリームのことなんてどうでもよくなってしまった。
そんなことより大切な今がある、よね。
ジムの家を見て懐かしんだり、亡くなった母親のロマンス小説のコレクションを見て笑ったり、ジムの部屋の洋服や、写真や、手紙を見て、全てがそのままだと笑う。
カセットテープを聞く。当時の二人は老夫婦ごっこをしていて、深く愛し合っていた。
「今夜はめっちゃ楽しもう!」というジムの提案のもと、二人は楽しむ。
ラップをしたり、お酒を飲んで踊って、リアル老夫婦ごっこもする。
楽しくて、良い感じ。あんなに愛していた恋人だ。どんなに時が経っても、一瞬で戻れる。
というか、ジムはめちゃくちゃ良いやつ。本当に良い人。
で、ベランダでゴロリと寝っ転がっている二人。
アマンダの「Will you kiss me?」は、アカンやろー。
ダメでしょ、いや、あんたが言っちゃダメだ、どう考えてもダメだ。
キスして、盛り上がって、セックスしようとするが、やっとここでアマンダが「私は人のものなのよ」と怒って帰る。
いやいや最初からそうやん。ずっとそうやん。
帰り際に話はピークになる。
どうしてあの時勝手に決めたの?僕の子供でもあったのに。二人の子供だったのに。
だってあの頃のジムがあまりにも皮肉屋で子供すぎて、親になんてなれないと思ったからよ。私だって一人で怖かったけど、何をするべきかは分かった。
ここで初めて読まれる手紙。何があっても二人で乗り越えようね、みたいな。おそー。
そんなことを話しながら、泣くアマンダ。この5年間、躁鬱病で、涙なんて一滴も流さなかったのに。アマンダの涙を見て笑う二人。潔く、おしまい。
うーん。引き込まれたー。
私、好きだなあ、バッファローにも通ずる、こういう、淡々と、会話が進んでいく話。
たいして絵も変わらなかったりするんだけどね。それでも好き。
特に今回はなぜ白黒。
Will you kiss meを言うんだったらさあ、最後までいったれよ、と思うね。
それは言っちゃダメだ、絶対に。
そもそも、と言い出したら、キリがないけど、そんなの私には分からないくらい、二人の絆は強くて、帰り難かったんだよね。
車の中でアイスクリームがドロドロに溶けているのにさ!
そんなことあるかなあって思った、けど、ないな。
地元で、お互いの実家を知っているような関係性の恋人はいなかったな。
アマンダは、心が弱っていた。それは多分独身だったら、パーっと飲もうよ!みたいにできたのに、家族がいるから、一層弱っていた。
今の家族がいるから、昔の恋人が輝いて見えたのだと思う。
だって、独身だったら、どう考えても、今のほうがいいもの。
ジムはかわいそうに、これからどんな傷を抱えて生きていくのか。辛すぎる。
まあ、書いた手紙を渡さなかったジムが悪い、に尽きる。
自業自得です。
はい、女なんてこんなもんです。
人生が変わっていたかもしれないピースを作り上げていたのに、ずっと手中に持っていた(しかも捨てなかった)あなたが悪いのです。
アマンダは精一杯、いつも前に進もうとしている、気がする。
でもWill you kiss meはだめ、絶対。


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