花のあと / 藤沢周平

彼の文章を読むと、心が洗われる。なんかもっと真面目に愚直に生きたい、と思わされる。自分が汚れているかのような、今の時代なんて何にも良いことないような、気になる。なぜだかうちの家族は祖父母も両親も藤沢周平が大好きで、これだけは共通の話題になる...

阿Q正伝・狂人日記 / 魯迅

魯迅って、覚えさせられたなあ。ねえ?突然中国文学ブームが来た時に、買ったのだ。ブームと言っても、ケン・リュウと魯迅だけだったと思う。中身は全く同じではないが、ほとんど魯迅の第一作品集『吶喊(とっかん)』と同じである。吶喊。突撃に移る前に、士...

八日目の蝉 / 角田光代

やっと読めた。映画を観たいと思って、その前に原作を読みたいと思って、本を買っておいたけど、長らく手を付けていなかったのに、読み始めたら一瞬だった。フェミニストたちの物語、か。一部は母親、希和子の物語。不倫していた男性の子供を孕ったのに、産む...

教養としての着物 / 上杉恵理子

百聞は一見に如かずというが、本当にその通りで、着物の文化や着付けの本を読むより、まず、着てみろ、に尽きるのだと思った。全然違うもんね。奥ゆかしさや、歴史の伝統を感じつつ、着る時は、後ろ手が攣りそうになりながらの精一杯である。詫びもさびもない...

紙の動物園 / ケン・リュウ

なんだかんだ結局私はSFが好きで、日本やアメリカ以外のSFにも興味があるし、そして読んでみた結果、好きだな、と思った。初めての中国のSF小説家。まあ、ほぼアメリカ人なのであろうが、それでもアジア人にしか書けない見事なSF小説だった。それは、...

若者たち / J・D・サリンジャー

実家にあったのを持ち帰ってきた。背表紙には260円と書いてあった。古き良き時代。昭和46年の初版の文庫本である。一体どれくらいの若者が、この本を読んで当時奮い立ったのだろうか。とは言え、半世紀以上経った今、私が読んでも、懐かしいと同時に奮い...

ノモンハンの夏 / 半藤一利

まるで高校3年生の体育祭への準備とチームが一丸になって戦う様子と、でも、敵が強すぎてコテンパンにやられてしまうような、手に汗握る夏の思い出であった。1939年の春頃から動き出したその情勢は、7月8月の間に戦列に燃え上がり、花火のように打ち上...

黒い画集 / 松本清張

最高ですね、松本清張は。どうしてこんなに心を掴む文章を書き続けられたのか。2023年12月に一人で稚内旅行に行った際に、現地のコンビニで入手して、あっという間に読み終えた。中でも最初の「遭難」は衝撃で、非常に良くできていて、あまりにもリアル...

宿命 國松警察庁長官を狙撃した男・捜査完結 / 原雄一

警察庁長官が撃たれたなんてニュースは初めて知ったので、相変わらずの自分の世間のニュースに対する疎さにびっくりした。みんなは知っていたの?警察官がみんな原さんのような正義感に溢れた人ならいいのに、と強く思った。と同時に、警察官もなかなか大変な...

黄色い家 / 川上未映子

辛い。メタボラみたいに、ならないでくれ、いつか、救われてくれ、と思いながら、一気に読んだ。結局救われなかった。可哀想な人たちは一生可哀想だし、勝ち組は子供や孫までずっと勝ち組なのだ。悔しいよね、悔しい。悔しさしか感じなかった。後味悪い。